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fishpro
モデレーター畜肉よりも魚肉の方が高タンパク質低脂質であるという傾向があります(参考資料1)。もちろんすべてではありませんが、水分以外の組成のうち牛肉では3/4、豚肉、鶏肉では1/2程度が脂質であるのに対し、スケトウダラやヒラメではタンパク質が3/4以上を占めます。また、魚肉は消化されやすさにも大きな特徴を持っています。もともと魚肉タンパク質は乳や大豆タンパク質よりも消化されやすく(参考資料1)、魚肉から作られた水産練り製品は畜肉や白身のゆでたまごと比べて人工胃液に消化されやすいということも分かってきています(参考資料2,3)。これが胃腸に負担をかけにくい食品として注目されている理由です。
当サイトのコラムでも解説しておりますのでこちらも併せてご確認ください。
〈参考資料〉
1)魚肉たんぱく研究所HP.魚肉たんぱく基礎講座 魚肉たんぱく.
2) 植木暢彦.魚肉タンパク質と魚肉ペプチドでスポーツに適した体に.アクアネット 25, (2022): 27-32.
3)一般社団法人 日本かまぼこ協会HP.動画と図でわかるフィッシュプロテイン.
fishpro
モデレーター美味しさの定義ごとに見るところが違うかもしれませんが、いくつか事例を紹介したいと思います。鮮度が良いものを良しとする場合には、外観の見極めが大切です。鮮度が落ちてくると目の色が濁ったり、血走ったりしますし、エラの色がくすんできます。肉質も柔らかくなってくるため、そうなっていない魚を選びましょう。
コリコリとした食感を重視する場合には漁獲直後の魚を入手することが大切です。漁獲直後の肉質は柔らかいですが、その後死後硬直によりコリコリとした食感が生まれます。
うま味重視の場合は二つの視点から。核酸系のうま味成分であるイノシン酸はエネルギー物質(ATP)の分解が進むほど増えてくるので一定期間の熟成が必要です。同じようにアミノ酸系のうま味成分であるグルタミン酸もタンパク質の分解で生じるため、漁獲直後よりも時間経過後の方が美味しさを強く感じます。ただし、「タラの沖汁」と言われるように船上ですぐに食べないとどんどん分解が進んでしまうような魚がいる一方で、「腐ってもタイ」と言われるように分解がなかなか進んでいかない魚もいるので、魚種ごとに適した見極めも大切です。もう一つのうま味成分は脂質ですが、これは季節や産卵の影響で変動します。餌が豊富な時期に脂質を蓄えたり、産卵期間近には大量のエネルギーが必要とされるため脂質が使われてほとんど残っていなかったりと様々です。こちらも魚種ごとの旬を知ることが美味しい魚を食べるための秘訣とも言えます。-
この返信は2年、 5ヶ月前に
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fishpro
モデレーター一般的に、脂質が少ないことと弾力が出やすい魚であることがかまぼこの原料に適しているとされており、シログチやスケトウダラなどの白身魚が代表的なものです。また、価格が安いことも重視されます。そのまま食べても美味しい魚は市場価値があるため、コストをかけてすり身にしてかまぼこを作ってもなかなか太刀打ちできません。弾力に関しては、世界に30,000種以上も存在する魚のすべてが弾力を出せるわけではなく、それぞれの魚種で弾力の出やすい温度帯も異なるため、原料と真摯に向き合って特徴を見極めることが魚の命を生かすことのコツだと言えます。
fishpro
モデレーター一般的には、疾病のリスクが高まると考えられています。例えば、魚を週に1~2回食べる人と比べて、ほとんど食べない人の大動脈疾患で死亡するリスクは2倍に高まることが報告されており(参考資料1,2)、他にも魚の摂取量や頻度が多いほど、心臓病の発症リスクや死亡リスクが減少することも知られています(参考資料3,4)。魚にはEPA(IPA)やDHA、アスタキサンチンなど健康機能性成分が含まれていることに加えて、魚肉の主要成分であるタンパク質やその分解産物であるペプチドも様々な健康機能性を持つことが次々と明らかにされてきてきました(参考資料5)。魚を食べないとすぐに不調をきたす、というわけではないかもしれませんが、長期的にみると魚由来の健康機能に関する恩恵を受けられないことは少し損をしているのではないかと考えられます。
〈参考資料〉
1)TSUKUBA JOURNAL.魚をほとんど食べない人で大動脈疾患死亡が約2倍に増加.2) Yamagishi K. et al. Fish intake and risk of mortality due to aortic dissection and aneurysm: A pooled analysis of the Japan cohort consortium. Clinical Nutrition 38.4 (2019): 1678-1683.
3) Iso H. et al. Intake of fish and n3 fatty acids and risk of coronary heart disease among Japanese: the Japan Public Health Center-Based (JPHC) Study Cohort I. Circulation 113.2 (2006): 195-202.
4)Nakamura Y. et al. Association between fish consumption and all-cause and cause-specific mortality in Japan: NIPPON DATA80, 1980–99. The American journal of medicine 118.3 (2005): 239-245.
5)Hosomi R. et al. Seafood consumption and components for health. Global journal of health science 4.3 (2012): 72.-
この返信は2年、 5ヶ月前に
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fishpro
モデレーター「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」によると「1日400 mgを目安にしたプリン体の摂取制限」が示されており、100 g中のプリン体の含有量はスジコ(イクラ)で15.7、カズノコで21.9 mgと極めて少ない部類に属し、タラコで120.7、明太子で159.3 mgという値です(参考資料1)。豚レバー(284.8 mg/100 g)やカツオ(211.4 mg/100 g)、イサキ白子(305.5 mg/100 g)など比較的含有量の高いものもありますが、100 g換算よりも実際に食べる量で考えることも大切です。魚類にもそれなりの量が含まれています(イサキ:149.3、マダイ:128.9、サワラ:139.3 mg/100 g)が、魚肉を大量の水で洗う水晒し工程がある水産練り製品ではプリン体の含有量が少なくなる(板かまぼこ:26.4、笹かまぼこ:47.8、焼きちくわ:47.7 mg/100 g)ことも分かっています。尿酸値が気になる方は練り製品という選択肢はいかがでしょうか。
コレステロールに関しては、鶏卵(370 mg/100 g)や牛肉肩ロース(88 mg/100 g)と比べるとイクラで480 mg/100 g、たらこで350 mg/100 g(参考資料2)と少し多いように感じます。しかし、これらの値も100 g換算であるため、実際に食べる量を想像して判断することが大切です。卵を2個(約120 g)食べるよりも100 gの瓶詰めのイクラをすべて食べることの方が大変という考え方もあるのではないでしょうか。魚卵にはEPAやDHAなどの高度不飽和脂肪酸も豊富に含まれているため、適度に食べることは体にとっても良いことだと考えられます。〈参考資料〉
1)公益財団法人 痛風・尿酸財団HP.食品・飲料中のプリン体含有量.2)日本食品標準成分表2020年版(八訂)
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この返信は2年、 5ヶ月前に
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fishpro
モデレーターたんぱく質の摂取推奨量は18-64歳の男性で65 g、女性で50 g/日とされており、耐容上限量は現時点では設定されていません(参考資料1)。たんぱく質の過剰摂取は、その代謝に関わる腎臓への影響が懸念されており、多くの研究報告がありますが、確固たる悪影響の根拠はいまだありません。少なくとも35%エネルギー未満であれば腎機能を低下させることはないと結論付けられています(参考資料2)。
とはいえ、極端な大量摂取は腎臓へも負担をかけますし、単純に摂取カロリーも増加してしまうため、あまり好ましいことではないと考えられます。常識の範囲内で様々な食品からバランス良くたんぱく質を摂取することが望まれます。〈参考資料〉
1)厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2020 年版).
2)Van E. et al. A systematic review of renal health in healthy individuals associated with protein intake above the US recommended daily allowance in randomized controlled trials and observational studies. Advances in Nutrition 9.4 (2018): 404-418.
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この返信は2年、 5ヶ月前に
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fishpro
モデレーター一般的に、血中の塩分濃度が高まるとそれを薄めるために水分の吸収も促進されて血液量が増え、結果として血圧が上がることから塩分と高血圧の関係がイメージされていると考えられます。
実際には、食塩の摂取で血圧が上昇し、減塩により血圧が低下する「食塩感受性高血圧」と食塩摂取の影響を受けない「食塩非感受性高血圧」の二つのタイプに分けられ、後者が約50%と言われています(参考資料1,2)。
かまぼこ100g中の食塩相当量は2.5gと、他の食材(プロセスチーズ:2.8g、コーンフレーク:2.1g、カップラーメン:7.1g、フランスパン:1.6g)(参考資料3)と比較して圧倒的に多いというわけではありませんが、味の感じ方からなのか塩分が多いというイメージが先行しているようです。
もちろん過剰な食塩摂取は体に良くありませんが、塩分だけに着目してタンパク質の恩恵を無視してしまうことは少しもったいないのではないでしょうか。
例えば、動物性タンパク質の摂取により高血圧のリスクが減少する(参考資料4)ことや1日の動物性タンパク質摂取量を20g増やすと脳卒中のリスクが26%も低減する(参考資料5)、ことが研究結果として明らかにされています。かまぼこのタンパク質を使った実験でも、通常タンパク質源として用いられている乳タンパク質(カゼイン)をかまぼこタンパク質変えると血圧上昇が抑えられる、という研究結果が得られています(参考資料6)。
また、食塩は栄養素の吸収に重要な役割を果たしています。糖や大部分のアミノ酸は輸送体(トランスポーター)を通してナトリウムと一緒に小腸から体内へ吸収されますが、その時に塩分摂取量が不足し、ナトリウムが足らなければ栄養素がスムーズに体内へ吸収されません。実際に関西大学の福永先生が実施した実験では、低塩状態よりも適塩状態の方が、体重が増加して成長が促進されるというデータが得られています。疾病レベルの高血圧の方は医師のアドバイスに従うことが必要だと思いますが、一般健常者であれば過剰な塩分摂取や減塩によるリスクを避けつつ、良質なタンパク質と塩分をバランスよく摂取することが健康維持には大切だと考えられます。〈参考資料〉
1)オムロンHP,「食塩感受性高血圧」って、どんな高血圧?4)Buendia JR et al., Am. J. Hypertens., 28, 372 (2015)
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