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お魚たんぱく健康だより 高タンパク質低脂質な魚肉は様々な食感を楽しめる

2022.10.28

”魚食は健康に良い”と一般的に言われていますが、ここでは、魚肉および畜肉の特徴、魚肉タンパク質の種類についてご紹介いたします。

魚肉および畜肉の特徴

魚肉タンパク質の説明をする前にまず魚肉と畜肉の違いについて考えてみます。魚肉、すなわち魚の筋肉にはどのような特徴があるのでしょうか。図1に水分を除いた成分組成を示しましたが、一般的に牛肉や豚肉などの畜肉と比べて魚肉は脂質が少なく、タンパク質の純度が高いという特徴を持っています。もちろんすべてに当てはまるわけではなく、ささみのような高タンパク質低脂肪な畜肉もありますし、ブリのように脂がのって美味しいと言われる魚では脂質が半分弱含まれています。牛肉や鶏肉は半分以上が脂質でタンパク質の純度が低いのに対して、スケトウダラやヒラメなど脂質の比率が少なく、タンパク質の純度が非常に高い魚種が多いことが知られています。つまり同じ量の畜肉と魚肉を食べた場合には魚肉の方がタンパク質の良い効果が得られやすいと言えるのではないでしょうか。

魚肉タンパク質の種類

魚肉中に占める割合が非常に高い魚肉タンパク質ですが、その特徴によって3つに分類されます(図2)。一つ目は筋形質タンパク質で、筋細胞間や筋原線維間に存在している球状タンパク質や解糖系酵素などが含まれます。水に溶ける性質を持つため、水溶性タンパク質とも呼ばれ、魚肉タンパク質中の20-50%を占めます。
 二つ目は筋原線維タンパク質で筋原線維を構成しているミオシンやアクチンが代表的なものです。水には溶けませんが、塩水(イオン強度0.5程度)に溶ける性質を持つことから塩溶性タンパク質とも呼ばれています。かまぼこや竹輪、カニカマなどの水産練り製品の弾力のもととなるタンパク質としてよく知られています。

三つ目は水にも塩水にも溶けない筋基質タンパク質で、その特徴から不溶性タンパク質と呼ばれています。主に筋細胞膜や血管の結合組織などを構築するコラーゲンが主要なタンパク質です。この筋基質タンパク質の割合は食感との関わりも深く、一般的に畜肉タンパク質よりも魚肉タンパク質中の含有量の方が少ないことが知られています。そのため、魚肉は畜肉よりも身が柔らかく、ほぐれやすいという特徴を持っています。 

食感という意味では畜肉の場合、部位ごとにタンパク質や他成分の組成が変動するため、様々な食感の違いを楽しむことができます。それに加えて魚肉の場合は、季節やエサ、生息域、年齢など成分組成の変動要因が多いため、より多くの味わいを楽しむことができる食材だと言えます。食材としての楽しみも多く、健康に良いと言われる魚肉タンパク質はタンパク質栄養源として非常に優秀ではないでしょうか。

<参考資料>

鴻巣章二.魚の科学.朝倉書店

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