ホーム / 健康だより / ライフサイクルアセスメントという視点

お魚たんぱく健康だより ライフサイクルアセスメントという視点

2023.09.05

SDGsが掲げられ、持続可能性についてますます注目されています。今回は水産資源も関わるライフサイクルアセスメントという視点について紹介したいと思います。

ライフサイクルアセスメントとは

ライフサイクルアセスメント(LCA)という言葉をご存じでしょうか。これは『ある製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)又はその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法』と定義され,二酸化炭素(CO2)排出量などを指標として環境負荷を数値化したものです。製品に関するCO2排出というとまず「生産」工程が思い浮かぶかもしれませんが、LCAでは「生産」「出荷」「流通」にととまらず、「資源の採取」「廃棄」「リサイクル」など一連の工程を対象とすることが特徴です(図1)1)。LCAの大きな目的は環境問題を見える化することで、どのポイントを改善すれば大きな効果が得られるのかを明確にし、具体的な改善策実行に生かすことです。

図1.ライフサイクルアセスメント(LCA)の概念.

水産ねり製品のCO2排出量

ある調査で天然のスケトウダラを原料とする水産ねり製品のCO2排出量が少ないことが分かりました2-4)。タンパク質1㎏あたりのCO2排出相当量は『牛肉』が115.8 kgであるのに対し,『天然のスケトウダラを原料とする水産ねり製品』ではわずか5.02 kgであり,環境負荷の少ない食品だということが分かりました。 今後様々な製品においてLCAという視点から議論され、CO2削減のための動きが出てくると予想されます。環境の視点からねり製品について考えてみることも面白いのではないでしょうか。

<参考資料>

1)GREEN NOTE.「環境負荷の“見える化”ができる「ライフサイクルアセスメント」とは?」.

https://green-note.life/1256/

2)アラスカシーフードマーケティング協会 日本事務所.「天然のアラスカ産スケトウダラを原料とする魚卵と練り製品が世界で最も気候に配慮したタンパク質であることが明らかに」.

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000046522.html

3)アラスカスケトウダラ生産者協会(GAPP)「天然スケトウダラのユニークな持続可能性ストーリーの伝え方」.

https://japanese.alaskaseafood.org/wp-content/uploads/2021/08/story-pollock-nerimono.pdf

4) Zhang X, Kotin A, Zgola M. Quantis International Life Cycle Assessment of Wild Alaska Pollock. ISO LCA report 2021.

https://www.alaskapollock.org/media/2246/final-report.pdf

ご入会について

世の中にお魚たんぱくの素晴らしさの理解を広げ、健やかな社会を実現するための情報プラットフォームです。魚肉普及と水産加工の発展に積極的に関わる意志ある法人・団体と個人、様々な方の入会をお待ちしております。是非ともこの研究会にご参加ください。