ホーム / 健康だより / 旬のさかな「鮎(アユ)」

お魚たんぱく健康だより 旬のさかな「鮎(アユ)」

2024.06.04

俳句 の季語 で「鮎」は夏を表しますが、春の季語は「若鮎」、秋は「落ち鮎」、冬は「氷魚(ひお、ひうお)」と、四季折々の季語に使用されています。万葉集でも鮎を題材にした歌が詠まれ、上品な香りと繊細な味わいや内蔵のほろ苦さが日本人に好まれ、愛され続けている魚です。

鮎の語源は所説あります。産卵期に川を下ることから、落ちるという意味の『アユル』から取られたと言う説や、神前に供える食べ物であることから『アエ』と呼ばれていたのが、なまってアユになったなど。漢字で表す際の「鮎」は、縄張りを占めることから付けられたとされていますが、奈良時代には「鮎」は「なまず」を指す言葉でした。また、神功皇后が鮎釣りで事の正否を占ったと言う話から「鮎」という字が当てられたとも言われています。

鮎は北海道中部より南の日本全国に分布します。国外では、中国や朝鮮半島の一部にも生息しますが数は少なく、その多くは日本の河川に遡上するため、ほぼ日本にしかいない魚と言えます。

秋に川の河口近くで孵化した鮎の仔魚は、川の流れに乗って海に下ります。秋が過ぎると凍るような寒さの冬を生き延びなければならないので、川よりも水温が安定し、プランクトンなど栄養が豊富な河口から遠くない浅い場所の海に出て、プランクトンや小さなエビなど動物性のものを食べて育ちます。

春に川の水が海と同じくらいの温かさになると、川をを遡上しはじめます。食性も主に岩に付いている藻を食べるように変わり、それに合わせて歯の形状や体色なども変化していき成魚となります。この時期になると、良質なコケを食べるために群れから離れて縄張りを作るようになり、他の鮎が近づくと体当たりして追い払い、必死に縄張りを守ります。この習性を利用したのがオトリアユを使った「友釣り」です。

秋になり水温が低下してくると、再び川を下り、下流付近までやってきて卵を産みつけます。産卵を終えると、わずか1年の短い一生を終えます。このように1年しか生きないことから「年魚」と言われますが、1年で死んでしまうというよりは、鮭と同じように生殖活動が1回しか行えないという性質で、成熟に時間がかかり生殖を行わなければ2年以上生きるとされています。

鮎の旬は、餌をよく食べ栄養を蓄えている6~8月です。資源保護のために、11月~5月は禁漁となっているところが多いですが、この禁漁明けの特に7月の若鮎が骨も柔らかく美味しいです。その他にも、9、10月は「落ち鮎」と言い、産卵のために川を下っていく子持ちの鮎で珍重されています。

鮎は「香魚」とも呼ばれ、水質が良い河川で獲れる稚魚や若鮎はスイカやキュウリに似た香りがします。この香りは食べたものに含まれている不飽和脂肪酸が酵素によって分解された後にできる化合物のにおいです。養殖物ではこの香りがほとんどなかったり、あってもごくわずかしか感じられません。

おすすめレシピ

 鮎の甘露煮

【材料】(5人前)

  • 鮎 5尾
  • 水 100cc
  • 醤油 50cc
  • 日本酒 30cc
  • みりん 50cc
  • 砂糖 大さじ3

【作り方】

  1. 手を水で濡らして粗塩をつけたら、腹ビレの辺りから肛門に向かって腹を軽くしごき、フンを出す。
  2. 塩をつけた手で表面のぬめりやウロコ、汚れをしごくようにして取り除き、水で洗い流す。
  3. 内蔵が苦手な人は、包丁で腹を割り、内臓を取り除く。
  4. 鍋に材料を全て入れ、落とし蓋をして弱火で20分くらい煮詰める。
  5. 途中で、2~3回ほどひっくり返して、煮汁をかける。
  6. 適度に煮詰まったら完成。

ご入会について

世の中にお魚たんぱくの素晴らしさの理解を広げ、健やかな社会を実現するための情報プラットフォームです。魚肉普及と水産加工の発展に積極的に関わる意志ある法人・団体と個人、様々な方の入会をお待ちしております。是非ともこの研究会にご参加ください。