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お魚たんぱく健康だより 旬のさかな「蛤(ハマグリ)」

2024.03.19

ひな祭りや結婚式などで縁起物として出されることの多い「蛤」。蛤を食べていた歴史はとても古く、縄文時代の貝塚からも蛤の貝殻が出土しています。また、平安時代には蛤は対になった貝殻同士でないと上手く重ならない為、蛤の貝殻を使った「貝合わせ」という遊びが流行っていました。

この対の殻以外は合わないことから、古くから「夫婦円満」の象徴とされており、結婚式に蛤のお吸い物が出るのは「生涯一人の人と添い遂げて幸せな人生を送れますように」との願いが込められているそうです。又、3月3日に食べると「良縁を結べる」と言われ、ひな祭りにも欠かせない食材となっています。

「ハマグリ」と呼ばれるようになった由来は、形が栗に似ていることから「浜栗」と呼ぶようになったという説や、小石のことを「グリ」といい、砂中に潜っている様子を小石に例えたという説といろいろあります。

淡水が流れ込む浅瀬や砂泥地に生息している二枚貝で、水の汚濁に弱いため、かつては東京湾も蛤の産地として知られていましたが、今では姿を見ることができません。東京だけでなく日本各地で蛤は減少傾向で、水質汚濁だけでなく、埋め立てによって干潟がなくなってきていることも原因の一つです。

蛤の旬の時期は産地によっても異なりますが、だいたい2月~4月にかけて漁獲されます。国内では昔は各地で獲ることができましたが、今では瀬戸内海西部の周防灘の一部、有明海の一部などの局地的な生息地を除いてほとんどの産地で絶滅状態となってしまいました。近年では国内で流通する蛤類の3/4は朝鮮産の蛤です。海外ではメキシコ、中国、台湾、朝鮮半島などで獲ることができます。

蛤とよく似た貝で「ホンビノス貝」があります。もともとはアメリカ東海岸でよく獲れた貝で、本来クラムチャウダーはこのホンビノス貝を使ったクリームスープのことを指します。昔は日本では生息していなかったのですが、今では千葉の船橋市や市原市などを中心に漁獲され、比較的安価です。

蛤とホンビノス貝の違いは、ホンビノス貝は出世貝のため小さいものから大きなものまでありますが、蛤は7cm前後と大ぶりです。見た目も蛤は全体的にピンク色に近い色をしていますが、ホンビノス貝は黒っぽい印象です。蒸すと、蛤は薄いピンク色の身をしており、食べると柔らかい食感で上品な旨みが特徴ですが、ホンビノス貝はやや黄色みがかっていて蛤よりも弾力があります。

今や蛤は高級食材となってしまいましたが、縁起物ですので春こそはホンビノス貝ではなく蛤を食べたいですね。

おすすめレシピ

 蛤のお吸い物

【材料】(2人前)

  • 蛤 4~6個
  • 菜の花 2本(20g)
  • 手鞠麩(焼麩) 適量
  • 昆布 1枚(5g)
  • 酒 大さじ1
  • 塩 小さじ1/3
  • 水 400㏄
  • 塩(砂抜き用)大さじ1
  • 水(砂抜き用)600cc

   

【作り方】

  1. ボウルに砂抜き用の水と塩を入れ塩水をつくり、蛤を入れ冷蔵庫で2~3時間置いた後、水で殻を洗う。
  2. 菜の花は食べやすい大きさに切る。
  3. 鍋に湯をわかし、2をさっとゆでて冷水に取って水気をしぼる。
  4. 鍋に昆布、水を入れて30分おく。
  5. 4を弱火で加熱し、沸騰直前に昆布を取り出す。
  6. 煮立ったら火を弱めて蛤、菜の花、酒、塩を加えて、蛤の口があくまで煮る。
  7. 灰汁を取り、手鞠麩を入れ30秒ほど煮たら、器によそって出来上がり!

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