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お魚たんぱく健康だより 旬のさかな「秋刀魚(サンマ)」

2023.10.16

秋の味覚を代表する秋刀魚(サンマ)。かつてはスーパーで特売をしていたり、庶民の味だった秋刀魚も今は高級魚になりつつあります。でも、やっぱり秋には秋刀魚を食べたいですよね!?今回はそんな秋刀魚をご紹介します。


「サンマ」と呼ばれるようになったのは諸説ありますが、その中で有力な2つをご紹介します。

1つ目は、「細長い魚」の意味を持つ「サマナ(狭真魚)」が、やがて「サンマ」と変化していったという説です。「サ」には、狭いや細いという意味があり、見ための特徴から名前がついたようです。

2つ目は、群れて泳ぐ習性から「大きな群れ」を意味する「サワ(沢)」と「魚」を意味する「マ」から「サワンマ」と呼ばれ、やがて「サンマ」に変化したという説です。
また、主に紀伊半島では古来よりサンマを「サイラ(佐伊羅魚)」と呼んでおり、この名称が学名「コロラビス・サイラ」という名前に使用されています。

現在使われている「秋刀魚」は当て字で、大正時代に登場しました。秋に旬を迎え、細く長い銀色の魚体が刀を連想させることから、この様な字が当てられたようです。他にも、古い書物には「青串魚」などと記述されていたという記録があったり、夏目漱石の「我が輩は猫である」には「三馬」と表記されていたりします。

秋刀魚の体は長細く、顎がくちばしのように突き出しています。背中は暗い青色で、腹部は銀色をしています。鱗はありますが、薄く小さいため、水揚げ時にほとんどが剥がれ落ちてしまいます。刀のようにつるりとした印象なのは、鱗が剥がれてしまっているからでもあるようです。寿命は1年から2年ほどで、全長35センチ位まで成長します。

また、秋刀魚には胃がなく、食べたものは直接腸へと運ばれます。その腸も非常に短く、食べた餌は20~30分程度で排泄されてしまうと言われています。餌を食べてから排出するまでの時間が短いために内臓にえぐみがなく、秋刀魚の塩焼きは「はらわた」も美味しく食べることができます。

秋刀魚は北太平洋で広く生息しています。大群を作って泳ぐ特徴があり、季節によって回遊しますが、その経路などは詳しく解明されていません。以前は、日本近郊の太平洋側の黒潮の暖流域で孵化して北上し、夏の季節はオホーツクの冷たい海で回遊しながら成長して、秋になると産卵などのため、親潮に乗り日本の北から南下していました。

しかし、近年は球温暖化の影響で北からの冷たい親潮の流れが弱まり、北海道東沖や三陸沖の水温が上昇してしまいました。そのため、秋刀魚は沿岸部で南下することができずに東の沖合に移動してしまったとの調査結果がでています。また、日本近海では競合種であるマイワシやサバ類が増え、秋刀魚が回遊しにくくなった可能性も指摘されています。餌不足による成長の遅れも懸念事項です。

今年の春、日本や中国、台湾など9カ国・地域が秋刀魚の資源管理について話し合う北太平洋漁業委員会(NPFC)において、海域全体で2023~24年の年間漁獲量を22年に比べて約25%削減することで合意されました。海洋環境の変化は簡単には元には戻らないと思いますが、世界各国で協力して資源管理を徹底していくことで秋刀魚を守っていけると良いですね。

また、私たちにできることとして、ちょっと値段が高くて身が細かったとしても、秋の味覚・秋刀魚を味わって秋刀魚漁業を応援していきましょう!

おすすめレシピ

 秋刀魚の塩焼き

【材料】(2人前)

  • 秋刀魚 2尾
  • 塩(振り塩) 小さじ2/3
  • 大根おろし 適量
  • すだち 適量
  • 醤油 適量

【作り方】

  1. 秋刀魚の尾から頭に向かって包丁でやさしくこすり、鱗やぬめりを取り流水で流して洗った後、キッチンペーパーで水気を拭き取ります。※鱗は水揚げの際ほとんど取れてしまうので、表面についていないかを確認するくらいでOK!
  2. 秋刀魚一匹に対して小さじ1/3(2g)を、20cmくらいの高さからまんべんなく表と裏にまぶし、15分ほどおきます。出てきた水分をキッチンペーパーでやさしく押さえて拭き取ります。※できるだけ秋刀魚の中央の身の厚い部分は多めにまぶすようにします。
  3. 秋刀魚の表面に切れ目を入れます。切れ目を入れることで、火の通りが良くなり、焼き上がりの見栄えが良く、食べやすくなります。
  4. 焼き目がしっかりつくように焼きます。焼き上がったらお好みで大根おろしやすだちを添えて完成です!
  • 魚焼きグリルの場合は、予め網にサラダ油を塗り2~3分強火で空焚きします。秋刀魚の尻尾は焦げて形を保つことが難しいので、アルミホイルで保護しておきましょう。
  • グリルに秋刀魚を入れます。片面焼きの場合は、盛り付けた時に上になる方を下にして入れ(両面焼きの場合は逆)、中火に落とします。片面焼きグリルなら5~7分、焼き目がついたら上下を返して5~7分。両面焼きグリルなら約10分、皮に焼き目がつくまで焼きます。
  • フライパンで焼く場合は、秋刀魚の中央を斜めに半分に切ります。その際、肛門より尻尾側で斜め切りするとワタが流れ出ず汚れません。
  • フライパンにホイルシートを敷き、等間隔に並べます。秋刀魚同士がくっつくと皮や身が剥がれてしまうことがあるので、少し離して並べ、弱めの中火で蓋をして7〜8分、裏返して7〜8分、皮に焼き目がつくまで焼きます。

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