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タンパク質の消化吸収

2024.01.22

ここではタンパク質の消化吸収について解説する。

タンパク質

人間の成分の約20%を占め、体の主要な構成成分であるタンパク質はDNAの遺伝情報を基にアミノ酸が決まった順に結合して作られる。人間のタンパク質は10万種以上あるとされているが、タンパク質ごとにアミノ酸の並び順が違うため、形状(立体構造)も異なり、それぞれ別の大切な役割を果たしている。筋肉や髪の毛、ホルモン、酵素、内臓、骨などほとんどの組織でタンパク質はその構成成分として利用されており、生命活動を維持していくために不可欠な栄養素と言える。また、エネルギー源としても重要な栄養素であり、タンパク質1gあたり4 kcalのエネルギーを産生する。 健康的な生活を送るためにはタンパク質の代謝がスムーズにいくことが大切であるが、タンパク質が合成される際にその原料となるアミノ酸が準備されていることがまず必須である。一見同じもののように見えるが、生体内のタンパク質は正常な機能を保つために日々合成と分解が繰り返され、新しく入れ替わっている。タンパク質合成に使われるアミノ酸プールに蓄えられた遊離アミノ酸はタンパク質の分解によって生じたものもあるが、不足する分は常に食事から摂取する必要がある。遊離アミノ酸、延いてはタンパク質不足を防ぐためにもタンパク質を摂取することが大切である。現在、タンパク質摂取の推奨量は18-64歳の男性で65g、女性で50g/日とされている1)

タンパク質の消化

タンパク質をどんなに大量に摂取してもアミノ酸にまで分解されなければタンパク質合成やエネルギー源として利用されることはない。そのため、体内での消化されやすさ(消化性)はタンパク質の質を語る上で非常に重要な視点である。ここでは基本的なタンパク質の消化メカニズムについて示す。 食べられた食材は咀嚼により細かく砕かれることで表面積が増大し、体内での消化を受けやすくなる。まずはしっかり噛む、ということが大切である。小さな食塊が胃に到達すると胃液の強い酸性によりタンパク質が変性し、タンパク質分解酵素であるペプシンの働きにより、アミノ酸同士の結合が切断され、よりサイズの小さいタンパク質やペプチドへと低分子化される(図1)。続いて膵液中に含まれるトリプシンやキモトリプシン、カルボキシペプチダーゼなどのタンパク質分解酵素によりさらに低分子化され、最終的には小腸粘膜中のアミノペプチダーゼやジペプチダーゼにより遊離アミノ酸や低分子ペプチドにまで分解されて体内へ吸収される。一昔前まではアミノ酸まで分解されないと体内へは吸収されないとされていたが、ペプチドトランスポーターの発見によりアミノ酸が2個つながったジペプチドおよび3個つながったトリペプチドがそのままの状態で吸収される場合があることが明らかにされた2)

図1.タンパク質消化の模式図.

ペプチド、アミノ酸の吸収

食事で摂取されたタンパク質は胃や腸で消化された後、小腸粘膜上皮細胞から体内へ吸収される(図2)。アミノ酸はアミノ酸トランスポーターを介して細胞内に取り込まれるが、多くのアミノ酸ではグルコースと同様にナトリウムイオン(Na+)と一緒に細胞内へ入る(共輸送)。この基本的な吸収メカニズムは日常生活や運動時などに適度な食塩摂取が必要であることを示している。

図2.アミノ酸およびペプチド吸収の模式図.

ジおよびトリペプチドはペプチドトランスポーターを介して細胞内へ取り込まれるが、これは水素イオン(H+)依存的な共輸送である。これらのペプチドは細胞内のペプチダーゼにより遊離アミノ酸にまで分解され、アミノ酸のまま取り込まれたものと一緒に門脈を経て肝臓へと運ばれる。


以上のようにタンパク質が消化吸収され、アミノ酸が再びタンパク質合成の原料として利用されることが人間の生命活動にはとても大切である。この代謝経路をスムーズに動かすためにもタンパク質の消化されやすさは重要な要素であると言える。

<参考資料>

1)厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2020 年版).

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf?_ga=2.217086291.411837329.1671500115-1802964792.1671500115



2)Fei, Y. et al., Expression cloning of a mammalian proton-coupled oligopeptide transporter. Nature 368.6471 (1994): 563-566.

https://doi.org/10.1038/368563a0

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