魚タンパク質の消化性の高さ
2024.01.22
ここでは魚タンパク質の消化性を乳および大豆タンパク質と比較した結果を示す。
タンパク質の質の指標としての消化性
タンパク質摂取の重要性は広く世の中に浸透してきたが、畜肉や卵、乳、大豆などタンパク質源となる食材は多くの種類があるにもかかわらず、それぞれの特性についてはあまり意識されず、量だけに注目されることが多い。しかし、タンパク質の性質が異なれば体内での利用効率も変化するはずである。ここでは、タンパク質の質の違いを比較するため、各タンパク質の人工胃液に対する消化効率を比較したデータを示す。
人工胃液に対する消化効率
7種の魚由来のタンパク質と乳タンパク質であるホエイおよび大豆タンパク質の人工胃液(ペプシン溶液)に対する消化性を調べた。それぞれのタンパク質サンプルを人工胃液に入れ、37℃で60分間消化した時のタンパク質分解パターンの変化をTricine-PAGEで比較した結果を図1に示す1)。7魚種由来のタンパク質はいずれもわずか2.5分で低分子化されることが分かった。これに対して、ホエイおよび大豆タンパク質では低分子化が時間依存的に進行してはいるものの60分消化後でも元のサイズのタンパク質が残存していた。このことはホエイや大豆タンパク質と比べて魚タンパク質の消化性が高いことを示している。
最終的には胃液の分泌と時間をかけることでいずれのタンパク質もアミノ酸にまで分解され、体内へ吸収されると推測されるが、消化性が高い方が胃腸への負担が少なく効率的に利用されると考えられる。消化性が高いから良い、低いから悪いということではなく、消化されやすくて即効性の高い食材と腹持ちの良い食材の性質をしっかりと把握しておくことで、食シーンや目的に合わせた食材の組み合わせや使い分けができるのではないだろうか。
<参考資料>
1)植木暢彦.相模湾産魚類の水溶性筋肉タンパク質の血圧上昇抑制作用.フードケミカル 376, 41-44, 2016.
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