お魚たんぱく健康だより 魚タンパク質の現在地
2025.06.12
今回は魚タンパク質に関する論文数や注目ポイントについて調べてみました。
魚タンパク質の健康機能性に関する論文数
注目度の指標として関連論文発表数の変化を調べてみました。キーワードは「fish protein health function」とし、PubMed1)で検索した結果を図1に示します。

PebMedを用いて「fish protein health function」でキーワード検索した.
右肩上がりで増加してきた論文数も2020年をピークとしてやや減少傾向でしたが、2024年には大きく回復しました。本年2025年もまだ途中ですが、最高記録を更新する勢いで論文数が増加しています。このまま注目度を維持したまま新規知見が蓄積され、さらなる研究が発展することを期待したいと思います。
生成AIの回答状況
魚タンパク質に関する情報がどの程度Web上で発信されている、生成AIの回答内容から状況を把握してみました。今回は比較的利用されている3種類の精製AI、ChatGPT2)、Gemini3)、Copilot4)を用いました。それぞれに「魚タンパク質の健康機能性にはどのようなものがありますか?その中で他のタンパク質源と比べて特に優位なものを抽出してください。」と同じ文言を入力し、得られた結果を下記に示します。
ChatGPTの回答


まとめ: 魚タンパク質の特に優位な健康機能性
血圧降下作用: ACE阻害ペプチドの種類と活性の強さで突出
脂質代謝改善: LDLコレステロール低下、肝脂肪蓄積抑制など明確なデータあり
抗酸化作用: 吸収性・活性の高い小分子ペプチドが豊富
抗糖尿病作用: 血糖コントロールとインスリン感受性改善において注目
Geminiの回答
魚タンパク質の主な健康機能性
1.高品質なタンパク質源:
アミノ酸スコア100: 魚タンパク質は、体内で合成できない9種類の必須アミノ酸をバランス良く、かつ豊富に含んでいます。このため、アミノ酸スコアが100と評価され、肉類や卵、乳製品と同等、あるいはそれ以上の「良質なタンパク質」とされています。
高い消化吸収性: 魚肉は肉類に比べて結合組織(スジの部分)が少なく、筋原線維タンパク質の比率が高いため、消化吸収が非常に良いのが特徴です。特に、魚肉ペプチドに加工されたものは、さらに吸収効率が向上します。
2.オメガ-3脂肪酸(EPA・DHA)の同時摂取:
魚タンパク質を摂取することで、心臓血管の健康、脳機能、抗炎症作用などに寄与するオメガ-3脂肪酸(EPA・DHA)も同時に摂取できる点が大きな特徴です。これらの脂肪酸は、他の主要なタンパク質源(肉類、豆類、乳製品など)にはほとんど含まれていません。
3.心臓血管系の健康維持:
血圧低下作用: 魚のタンパク質の分解過程で生成されるペプチドには、レニン・アンジオテンシン系のアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害することで血圧を下げる効果が報告されています。
血液凝固抑制・血栓溶解作用: 特にイワシなどのタンパク質には、血液凝固を抑制し、血栓を溶解する作用があることが研究で示唆されています。これは、EPAやDHAとは異なるメカニズムで働くことが注目されています。
コレステロール代謝改善作用: 魚肉タンパク質がコレステロール代謝を改善する効果も報告されています。
4.脳機能の維持・改善:
オメガ-3脂肪酸のDHAは脳の主要な構成成分であり、記憶力や学習能力の向上、認知症の予防に寄与するとされています。魚タンパク質と同時に摂取することで、これらの効果が期待されます。
5.筋肉の維持・増強:
高品質なタンパク質であるため、筋肉の合成を効率的にサポートします。特に白身魚のタンパク質には、筋肉量増加作用や、高齢者の筋力維持に寄与する可能性が報告されています。消化吸収が良いため、運動後の素早いリカバリーにも適しています。
6.抗糖尿病作用:
魚肉タンパク質が血糖値の上昇を抑制する効果が示されています。
7.低脂質・低カロリー:
肉類と比較して飽和脂肪酸が少なく、一般的に低脂質で低カロリーなものが多いです。これは、肥満や生活習慣病の予防に役立ちます。
他のタンパク質源と比べて特に優位な点
魚タンパク質が他のタンパク質源(肉類、豆類、乳製品)と比較して特に優位な点は以下の通りです。
1.オメガ-3脂肪酸(EPA・DHA)の同時摂取:
この点が魚タンパク質の最大の優位性です。 肉類、豆類、乳製品のほとんどは、これらの重要な脂肪酸を含んでいません。EPA・DHAは、心臓血管疾患リスクの低減、脳機能の維持・改善、抗炎症作用など、魚独自の健康効果に大きく寄与します。タンパク質補給と同時にこれらの機能性成分を摂取できることは、他の食品にはない強みです。
2.非常に高い消化吸収性:
動物性タンパク質は一般的に消化吸収が良いですが、魚肉は特に消化吸収性に優れています。これは、肉類に比べて結合組織が少ないためで、胃腸への負担が少ないことを意味します。そのため、高齢者や消化機能が弱い人、スポーツ選手など、効率的な栄養吸収が必要な場合に特に有利です。
3.低飽和脂肪酸・低カロリー:
肉類(特に赤身肉)に比べて飽和脂肪酸が少なく、全体的に低カロリーなものが多いです。これにより、高タンパク質を摂取しながらも、過剰な脂質摂取やカロリー摂取を抑えることができ、肥満や生活習慣病のリスク管理に貢献します。 これらの優位性から、魚タンパク質は単なるタンパク質源としてだけでなく、包括的な健康増進に寄与する食品として高く評価されています。
Copilotの回答
魚タンパク質の主な健康機能性
1.心血管疾患予防
魚には オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)が豊富に含まれており、血圧を調整し、動脈硬化や心筋梗塞のリスクを低減する効果があります。
赤身肉に含まれる飽和脂肪酸は過剰摂取すると心血管系への負担が大きくなるため、この点で魚は優位です。
2.抗炎症作用
オメガ3脂肪酸は炎症を抑える働きがあり、関節炎や自己免疫疾患の予防・改善に役立ちます。
植物性タンパク質(大豆など)にも抗炎症作用はありますが、魚に含まれるEPA・DHAは特に強力です。
3.脳機能向上
DHAは脳の構成成分であり、認知機能の維持や記憶力向上に貢献します。
卵に含まれるコリンも脳機能をサポートしますが、DHAは特に認知症予防に有効とされます。
4.免疫力強化
魚には ビタミンD や セレン が豊富で、免疫機能を向上させる働きがあります。
鶏肉にもセレンは含まれますが、ビタミンDの含有量では魚が圧倒的に優れています。
5.骨の健康維持
小魚や骨ごと食べる魚には カルシウム が豊富で、骨粗鬆症予防に役立ちます。
大豆も骨の健康維持に貢献しますが、魚のカルシウム吸収率の高さは特筆すべき点です。
魚タンパク質は 心血管の健康、脳機能、抗炎症作用 において特に優れたタンパク源といえます。どの魚を選ぶかによっても栄養価が変わるので、目的に合わせた選び方をするとさらに効果的ですね! 魚タンパク質の具体的な健康効果は?魚と鶏肉、豆腐の栄養価を比較してください。健康的に魚を食べるためのレシピはありますか?
まとめ
本来は対話形式で回答精度を高めていきますが、今回は初めの質問に対する答えのみをそのまま示しました。生成AIごとの特徴があり、回答はそれぞれ異なります。タンパク質のことを聞いても回答内容が若干ズレているものや科学的根拠が乏しそうなものなど読み手の質も問われる時代となってきました。しかし、その情報源はあくまでWeb上に発信された内容であるため、情報発信の質が最も大切だと考えられます。研究会としては今後も責任をもって有益な情報を正しく伝えていきたいと思います。
<参考資料>
1) PebMed.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
2) OpenAI ChatGPT.
https://openai.com/ja-JP/chatgpt/overview
3) Google Gemini.
4) Microsoft Copilot.
ご入会について
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