お魚たんぱく健康だより 魚由来低分子コラーゲンペプチドが毛髪を成長させる
2025.01.28
今回は魚皮膚由来の低分子コラーゲンペプチドが毛髪の成長を促進したという論文1)について紹介します。
背景および目的
●脱毛症の治療にはフィナステリドとミノキシジルの2種類が承認されている。
●これらの物質にはアレルギー性接触皮膚炎やかゆみなどの副作用がある。
●フィナステリドの長期使用は性機能障害を引き起こす可能性がある。
●ミノキシジル使用の中止は脱毛症の再発につながる可能性がある。
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副作用が少なく、利用しやすい新たな脱毛治療の選択肢が強く求められている。
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魚由来の成分での効果を検証
方法
●低分子コラーゲンペプチド:
カイヤン(pangasius hypophthalmus)皮膚由来のコラーゲンを加水分解して調製
(Product name HACP-CF, from Jellice Co., Ltd.)1,2)
15%以上のトリペプチドを含む
●実験動物:
・6週齢C57BL/6マウスを1週間順化させた後に除毛処理
・1日1回低分子コラーゲンペプチド(615または820 mg/kg)を経口投与
(発毛効果が認められているミノキシジルは局所投与)
●評価系
・背部皮膚毛髪の成長率
・毛包数
・関連タンパク質の発現
・毛髪のケラチン発現

結果
・13日後の発毛面積はネガティブコントロール(生理食塩水)と比べて低分子コラーゲンペプチド投与群で有意に増加し、820 mg/kgよりも615 mg/kg投与群の方が増加面積が大きかった。
・毛包数も低分子コラーゲンペプチド投与群でネガティブコントロールより有意に多く、615 mg/kg投与群ではポジティブコントロールであるミノキシジルと同程度の値を示した。
・低分子コラーゲンペプチドの投与により、毛髪の成長のシグナル伝達経路に関連するタンパク質Wnt3a、β-カテニン、PCNA、サイクリンD1、VEGFの発現が促進された。
・低分子コラーゲンペプチドの投与により、毛髪ケラチンの発現レベルが増加した。
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低分子コラーゲンペプチドは抜け毛の症状を緩和するサプリメントとして使用することができる可能性が示唆された。
※参考資料本文では細胞アッセイや遺伝子解析など原理に関するさらに詳しい実験も行われています。ぜひ元の論文もご覧ください。
1) Kim, Y. et al., Low molecular weight collagen peptide (LMWCP) promotes hair growth by activating the Wnt/GSK-3β/β-catenin signaling pathway. Journal of Microbiology and Biotechnology 34.1 (2023): 17.
https://doi.org/10.4014/jmb.2308.08013
2) Pyun, H. B. et al., Effects of collagen tripeptide supplement on photoaging and epidermal skin barrier in UVB-exposed hairless mice. Preventive Nutrition and Food Science 17.4 (2012): 245.
https://doi.org/10.3746/pnf.2012.17.4.245
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