お魚たんぱく健康だより 加工された赤身肉の摂取は認知症のリスクを高め、ナッツや豆類、魚の摂取はそのリスクを低減させる
2025.02.25
赤身肉の摂取により認知症リスクが高まるという研究結果が発表されましたが、それと同時にナッツや魚の摂取によりそのリスクを低減できることも明らかにされましたのでここで紹介します。
背景および目的
牛肉や豚肉、羊肉などの赤身肉やベーコンやハム、サラミ、ソーセージなどの加工赤身肉の摂取により糖尿病のリスクが高まることはよく知られていた1,2)が、脳への影響に関してはこれまであまり明確ではなかった。そこで、この研究では赤身肉および加工赤身肉の摂取が認知症リスクに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
方法
●研究参加者:133,771人(平均年齢48.9歳、女性65.4%)
●主観的認知機能低下:主観的な認知機能の低下を自己報告 43,966人(平均年齢77.9歳)
●客観的認知機能解析:電話インタビューによる解析 17,458人(平均年齢74.3歳)
●未加工赤身肉:メインディッシュ、サンドイッチ、ハンバーガーとしての牛肉、豚肉、羊肉など
●加工赤身肉:ベーコン、ホットドッグ、ソーセージ、サラミ、ボローニャなど
結果
●認知症リスクは加工赤身肉の摂取量が少量のグループよりも大量のグループで13%高かった3-5)。
●1日に4分の1食以上の加工肉を食べるグループでは、最小量グループと比べて主観的な認知機能の低下が14%増加した。
●1日1食以上の未加工の赤身肉を食べるグループでは、0.5食未満のグループと比較して主観的な認知機能の低下が16%増加した。
●1日1食分の加工赤身肉をナッツや豆類に置き換えると認知症リスクが19%低下し、主観的な認知機能の低下が21%低下した。
●1日1食分の加工赤身肉を魚に置き換えると認知症リスクが28%低下し、主観的な認知機能の低下が51%低下した。

参考資料3) Li, Yuhan, et al. Neurology 104.3 (2025): e210286.のデータを基に模式図を作成.
魚離れが進んでいる日本ですが、魚食での認知症リスク低減というメリットだけでも食生活の見直しをする価値があるのではないでしょうか。
<参考資料>
1) Pan, An, et al. Red meat consumption and risk of type 2 diabetes: 3 cohorts of US adults and an updated meta-analysis. The American journal of clinical nutrition 94.4 (2011): 1088-1096.
https://doi.org/10.3945/ajcn.111.018978
2) Steinbrecher, A., et al. Meat consumption and risk of type 2 diabetes: the Multiethnic Cohort. Public health nutrition 14.4 (2011): 568-574.
https://doi.org/10.1017/S1368980010002004
3) Li, Yuhan, et al. Long-term intake of red meat in relation to dementia risk and cognitive function in US adults. Neurology 104.3 (2025): e210286.
https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000210286
4) Mass General Brigham homepage. Newsroom. Red Meat Consumption Increases Risk of Dementia and Cognitive Decline. Jan 15, 2025.
5) Fitzgerald, Susan. Processed Red Meat May Increase the Risk for Dementia. Neurology Today 25.2 (2025): 7-8.
https://journals.lww.com/neurotodayonline/fulltext/2025/01160/processed_red_meat_may_increase_the_risk_for.2.aspx?context=latestarticles
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