ホーム / 健康だより / かまぼこへ加工したスケトウダラタンパク質は血清コレステロールおよび血糖値上昇を抑制する

お魚たんぱく健康だより かまぼこへ加工したスケトウダラタンパク質は血清コレステロールおよび血糖値上昇を抑制する

2023.11.28

魚タンパク質の健康機能性は多くの基礎研究で証明されてきましたが、食品加工の影響についてはさほど知見が多くありません。今回はかまぼこへ加工することによって健康機能性が高まるという論文について紹介します。

背景および目的

魚肉タンパク質およびその加水分解物の健康機能性につては、糖代謝や脂質代謝の改善作用についてこれまでの研究で証明されてきた1)。しかし、魚肉タンパク質を原料とする水産練り製品の健康機能性に関する研究はまだ限定的であり2,3)、知見も少ない。そこで本研究では、魚肉タンパク質のかまぼこへの加工が血清脂質および血中グルコースレベルに与える影響を明らかにすることを目的とした。

方法

タンパク質の調製:

 ・スケトウダラタンパク質(APP)

    皮を除去したスケトウダラの切り身を液体二酸化炭素で凍結して凍結乾燥後、粉砕機で粉末化。
    粗脂肪をヘキサン/エタノール(2:1、v/v)で除去した後、真空乾燥

 ・かまぼこタンパク質(KBP)

    スケトウダラ肉を低温下でホモジナイズし、大量の冷水で水溶性タンパク質を除去。
    3%(w/w)のNaClを加えて塩ずりし、95℃で20分間加熱。
    冷却後に液体二酸化炭素で凍結して凍結乾燥。
    粉末にして冷水で塩を除去し、凍結乾燥。
    APPと同様に粗脂肪を除去。

実験飼料: タンパク質20%を含むAIN-93G餌料のカゼインタンパク質を下記の比率で置換した。

 ・Control カゼイン20%

 ・APP   カゼイン15%、APP5%

 ・KBP   カゼイン15%、KBP5%

実験動物: 8週齢の雄肥満Zucker fa/faラットを7日間馴化させた後、体重が350gに達した時点で上記3種のグループに分け給餌。

食餌負荷試験: 22日目に一晩絶食させた後、炭水化物を多く含む飼料(2gグルコース/㎏体重)を摂取させ、経時的に血中成分の変化を測定した。

結果

・血清総コレステロールレベルはcontrolと比べてAPPで有意に低く、さらに有意にKPBで低かった。

・血清HDLコレステロールレベルはKBPで他の2グループを比べて有意に低かった。

・血清LDLコレステロールレベルはcontrolよりもAPPおよびKPBでわずかに低かった。

・インスリン抵抗性発症の危険因子であるNEFA(非エステル型脂肪酸)レベルはcontrolと比べてAPPで有意に低く、さらに有意にKPBで低かった。

図1.食餌負荷試験後の血糖値の変化.
1)の図を改変.平均値±標準誤差 (n = 8).異なるアルファベット間で有意差あり (p < 0.05).

・グルコース負荷前の空腹時血中グルコース濃度は各グループ間の有意差は認められなかった(図1)。

・グルコース負荷後30分まですべてのグループで血中グルコース濃度が急激に上昇し、ピークに達した。この時、KBPのグルコース濃度はcontrolおよびAPPと比べて有意に低かった(図1)。

・60分後ではcontrolとAPP間には有意差が認められなかったが、これら2つの血中グルコース濃度を比べてKBPでは有意に濃度が低かった(図1)。

・血中インスリン濃度はすべてのグループ間で類似の変動を示した。

まとめ

スケトウダラタンパク質およびかまぼこタンパク質の摂取は血清コレステロールおよび血糖値への有益な効果を発揮した。さらには、かまぼこへ加工することにより糖代謝改善作用が強まることも分かった。

<参考文献>

1) Takada N, Hosomi R, Fukunaga K. Processing Alaska Pollock Protein (Theragra chalcogramma) into Kamaboko Protein Mitigates Elevated Serum Cholesterol and Postprandial Glucose Levels in Obese Zucker fa/fa Rats. Foods 11.21 (2022): 3434. 

https://doi.org/10.3390/foods11213434


2) Kadokura, K., Tomita, T., Kobayashi, M., Mitsui, T., Suruga, K. Effect of fish paste products "Hanpen" intake in Sprague-Dawley rats. Food Science & Nutrition 8.6 (2020): 2773-2779.

https://doi.org/10.1002/fsn3.1569


3) Kadokura, K., Tomita, T., Suruga, K. Effect of fish paste products, fish balls 'tsumire', intake in Sprague-Dawley rats. Journal of Nutritional Science 10 (2021): 1-7.

https://doi.org/10.1017/jns.2021.57

ご入会について

世の中にお魚たんぱくの素晴らしさの理解を広げ、健やかな社会を実現するための情報プラットフォームです。魚肉普及と水産加工の発展に積極的に関わる意志ある法人・団体と個人、様々な方の入会をお待ちしております。是非ともこの研究会にご参加ください。