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お魚たんぱく健康だより 抗酸化活性を持つヒラメすり身加水分解物は細胞死を抑制する

2022.12.19

練り製品の原料として使われるすり身は魚の筋原線維タンパク質を精製したもので、様々な健康機能性を持つことが期待されています。この研究ではすり身加水分解物の抗酸化活性を調べ、細胞保護効果や細胞死の抑制効果があることも明らかにされました。

概要

 機能性食品業界で高い評価を受けているすり身の健康機能性をさらに明らかにするために、ヒラメすり身加水分解物の抗酸化活性や細胞への影響が調べられました。まず、ヒラメ魚肉を水で洗浄して筋原線維タンパク質を精製した後、ペプシン、トリプシンおよびキモトリプシンなどの消化酵素で処理して得られた加水分解物(POSD)の抗酸化活性が測定されました。DPPHおよびアルキルラジカル消去活性を電子スピン共鳴法(ESR)で測定した結果、POSDに抗酸化活性が認められた一方で、2,20-azobis (2-methylpropionamidine) dihydrochloride (AAPH)処理で酸化ストレスを与えたVero細胞に対しては細胞保護効果を示し、細胞生残率が大きく増加してアポトーシス(細胞死)も抑制されることが分かりました。

 さらに、AAPHで刺激したゼブラフィッシュを用いてPOSDの効果が検証されました。受精後のゼブラフィッシュ胎仔をPOSDで処理した後、AAPHで酸化ストレスを与え、活性酸素種(ROS)の発生や、脂質過酸化、細胞死に対する影響が確認されています。POSD処理をしなかったものは酸化ストレスによりROS生成、脂質過酸化、細胞死が増加するのに対して、POSDの添加によりこれらの増加が有意に抑制されることが分かりました。これは酸化ストレスに対する細胞保護効果があることを示しています。この時、p53やCaspase 8などのアポトーシスに関与する因子のmRNA発言レベルが抑制されることも明らかにされました。

まとめ

 ヒラメすり身から調製した加水分解物は高い抗酸化活性を有し、細胞保護効果を示すことが明らかにされ、すり身の摂取が酸化ストレス誘導型の疾病予防に役立つ可能性が示唆されました。

<参考文献>

Oh J. et al. Antioxidant activity of olive flounder (Paralichthya olivaceus) surimi digest in in vitro and in vivo. Journal of Food Science and Technology 59, (2022): 2071–2079.
https://doi.org/10.1007/s13197-021-05221-2

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