お魚たんぱく健康だより イワシ筋肉由来のペプチドには降圧作用がある
2023.03.07
ここでは、イワシ魚肉を消化酵素であるペプシンで分解して調製された分子量1000-2000のペプチドに降圧作用があることが証明された論文を紹介します。イワシペプチドの経口投与により、高血圧自然発症ラット(SHR)およびウサギに対する降圧効果が認められ、ウサギの血管拡張も観察されました。
概要
ペプチド調製
イワシ普通筋に脱イオン水を加えてホモジナイズした後、pHを2.0に調整し、ペプシンで加水分解
→限外濾過により分子量1万以下のペプチド溶液を調製
→陽イオン交換樹脂処理およびゲル濾過により、分子量1000-2000のペプチドを分画
→凍結乾燥粉末を下記実験用のサンプルとした
ACE阻害活性
常法によりアンジオテンシンI変換酵素(ACE)阻害活性を測定
⇒ACEの50%を阻害する濃度(IC50)は27.1 mg/gであった
高血圧自然発症ラット(SHR)への静脈内投与
10週齢のSHRを1週間予備飼育後に生理食塩水に溶解したペプチドを頸静脈に投与
⇒降圧効果が認められた
ウサギへの経口投与 生理食塩水
生理食塩水に溶解したペプチドをウサギに経口投与
⇒明確な降圧作用は認められなかった
⇒腸管においてペプチドが吸収されにくいことが原因ではないかと考えられた。
ウサギへの経口投与 卵黄液
腸管での吸収性を向上させるため、30%卵黄液にペプチドを溶解したものを経口投与
⇒降圧効果は2-3時間で最大に達し、6時間後も持続した
⇒20分で血管の拡張が確認され、2時間後も拡張作用の持続が認められた
まとめ
イワシ魚肉をペプシン消化して得られた低分子ペプチドが降圧作用を示すことが明らかにされた。
<参考文献>
末綱邦男ら.イワシ筋肉由来ペプチドのin vivoにおける血圧降下作用ならびに血管拡張作用について
Nippon Eiyo Shokuryo Gakkaishi 42 (1989): 47-54.
https://doi.org/10.4327/jsnfs.42.47
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