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お魚たんぱく健康だより 魚の洋上投棄

2026.03.10

今回は魚の洋上投棄に関する情報を調べてみました。

魚の洋上投棄

近年、低・未利用魚や加工副産物の有効活用に注目が集まっています。これから活用できる可能性のある水産資源はどのくらいあるのでしょうか。今回は洋上投棄について解説します。

魚の洋上投棄とは、目的としない魚種が漁獲されてしまった場合に船から海へ魚が棄てられてしまうことで、ディスカード(Discards)と呼ばれ、社会的、生態学的に大きな問題とされています。水揚げされずに洋上で魚が棄てられてしまう要因としては、市場に需要がなく価値が低い、積載制限で優先度が低いなどの経済的理由、漁獲禁止魚種、サイズ制限、個別割当超過などの規制上の理由、船上での扱いにくさ、大量に漁獲され選別が難しいなどの安全性・作業性の理由が挙げられます。結果として船から棄てられた魚の致死率が高いため、生態系への悪影響や資源の損失、漁業の持続性低下などの問題が生じます。

洋上投棄の現状

洋上での廃棄率が高いと言われているトロール漁の調査結果を表1に示します。エビトロール漁では56.9-81.7%ものエビ以外の目的外魚種が廃棄されており、他のトロール漁でも24.0、60.5、90.0%と非常に廃棄率は高いです1)

文献1) Kelleher, K. Discards in the world's marine fisheries: an update (No. 470). Food & Agriculture Org (2005).のデータを引用.

海洋捕獲漁業における年間の洋上投棄量は平均で1,050万tにも上るとされ2)、漁船上での投棄(混獲物の廃棄など)は世界の総漁獲量の9-15%を占めると試算されています3)。魚の洋上投棄は非常に影響力の大きな問題であると考えられます。

Google NotebookLMを用いてインフォグラフィックを作成.

現状では有効活用されていない多くの魚がいることが事実ですが、これらの資源を活用していくためには陸上に持ってこれるだけの付加価値が必要です。単純な食料資源以外の活用法開拓が洋上投棄の課題解決に重要ではないでしょうか。

<参考文献>

1)Kelleher, K. Discards in the world's marine fisheries: an update (No. 470). Food & Agriculture Org (2005).

https://www.fao.org/4/y5936e/y5936e00.htm


2)Venugopal, V., & Sasidharan, A. Functional proteins through green refining of seafood side streams. Frontiers in Nutrition, 9, 974447 (2022).

https://doi.org/10.3389/fnut.2022.974447


3)Henriques, A., Vázquez, J. A., Valcarcel, J., Mendes, R., Bandarra, N. M., & Pires, C. Characterization of protein hydrolysates from fish discards and by-products from the North-West Spain fishing fleet as potential sources of bioactive peptides. Marine Drugs, 19(6), 338  (2021).

https://doi.org/10.3390/md19060338

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