お魚たんぱく健康だより お酒に強い遺伝子タイプの人は魚を頻繁に食べる傾向がある
2025.07.08
今回は遺伝子タイプと魚摂取頻度の関係について紹介します。
SNP解析
今回研究に用いられた手法はSNP(Single Nucleotide Polymorphism:一塩基多型)解析と呼ばれるもので、SNPはスニップと読みます。SNPとは個体間のDNA配列の一塩基の違いを示しており、この違いを調べることで、体質や疾病、薬剤反応性などの傾向を知ることができ、オーダーメイド医療への活用も期待されている技術です。
魚摂取頻度に関わる遺伝子
日本人12,603人を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS:Genome-Wide Association Study)の結果、魚の摂取頻度に関連する遺伝子座12q24(ヒト12染色体上の領域)が特定され、主要な変異(SNP)はrs11066015でした1)。rs11066015はアルコール代謝に関連する既知のSNPとも関連性があることが示唆されました。
アルコール代謝と魚摂取頻度
アルコール代謝と魚摂取頻度に関する遺伝子の関連性を解析した結果、お酒に弱い遺伝子タイプの人は魚の摂取頻度が低下していることが分かりました1,2)。性別や年齢で細かく分けた解析では、男性および高年齢(51歳以上)でこれらの関連性が強いことも分かり、遺伝的にお酒に弱いタイプで高年齢の男性は魚の摂取頻度が低下しやすいという傾向が認められました。お酒に強い遺伝子タイプの人は魚の摂取頻度が高い傾向を示すとも言えます。

都道府県別の傾向
魚摂取頻度の高い遺伝子タイプの人の割合を都道府県別で調べた結果も発表されています3)。北海道や沖縄、東北で高い傾向が認められ、上位の結果はお酒に強い遺伝子タイプのランキング4)と一致しており、改めてアルコール代謝と魚摂取頻度の遺伝子型には相関があることが示されています。
遺伝子の解析結果から、どのようなタイプの人が魚不足に陥る可能性が高いかを予測することができるため、魚の健康効果を訴求すべきターゲットも選択しやすくなるのではないでしょうか。
<参考資料>
1) Igarashi, Maki, et al. Identification of the 12q24 locus associated with fish intake frequency by genome-wide meta-analysis in Japanese populations. Genes & Nutrition 14 (2019): 1-8.
https://doi.org/10.1186/s12263-019-0646-6
2) 株式会社ジーンクエスト ニュースリリース.日本人集団における魚の摂取頻度に関与する遺伝子領域を発見.
https://genequest.jp/topics/news/0/363
3) 株式会社ユーグレナ プレスリリース.魚を頻繁に食べる遺伝子タイプが多い都道府県ランキング発表!上位は東北エリアがランクイン!.
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000295.000036462.html
4) 株式会社ユーグレナ プレスリリース.お酒に強い遺伝子タイプが多い都道府県ランキング、1位は青森県!東北エリアがお酒に強い傾向に.
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