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お魚たんぱく健康だより 干物の減塩技術

2026.01.27

今回は干物の減塩技術に関する文献を紹介します。

干物

魚は死後の鮮度低下が畜肉と比較して速いことが広く知られていますが、日本では魚の長期保存を目的に、様々な加工品が開発されてきました。今回は水産加工品の中から塩を利用した干物の製造に関する近年の研究を紹介します。干物の特徴は、食塩を用いて保存性を高めている点です。干物製造における食塩の役割は抗菌作用、タンパク質凝固作用、脱水作用等が挙げられます。干物は、原料魚を塩水に漬けてから干す方法(立塩法)や、直接塩を振りかけてから干す方法(撒塩法)により製造されています。

日本での減塩の取り組み

日本人の食事摂取基準(2025年版)1)によると、1日の食塩摂取量目標値は男性で7.5 g未満、女性で6.5 g未満と定められています(WHOでは5 g未満目標)。一方で、厚生労働省令和6年度の報告2)によると、食塩摂取量の男女別平均値は男性 10.5 g/日、女性 8.9 g/日 で、摂取量は目標値を超えています。一部の高血圧には塩分の摂取過多から引き起こされるタイプもあり、生活習慣病など私たちの生活に影響をもたらす可能性もあります。これらの問題を解決するために、日本の食品メーカーは減塩食品を販売するなど、様々な工夫を行ってきました。このように減塩の商品開発が進む中で、塩を使う干物に関しても、減塩製法での開発が進められています。

干物の減塩技術 インフォグラフィック.
Google NotebookLMを用いて作成.

減塩製法の干物開発

紹介する論文3)は、茶殻を利用した減塩干物の製造方法を検討しています。先述の通り、干物製造における塩の役割の一つには保存性を高めることが挙げられ、干物に塩は必要不可欠です。論文では、茶殻に含まれるカテキンの抗菌・抗酸化作用に着目し、茶殻抽出物と塩の混合物を用いて干物を製造した際の抗菌効果について検討しています。すなわち、干物製造における茶殻成分の添加は、減塩干物製法の可能性の一つとして有効であるといえます。このように、日本の伝統食文化を守りながら、時代のニーズに合わせた水産加工品製造方法の提案によって今後さらなる加工技術の発展が期待されます。

<参考文献>

1)日本人の食事摂取基準(2025年版)

https://www.kenpakusha.co.jp/data/seigo1/005004-05.pdf


2)令和令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001603146.pdf


3)長太 のどか, 前河 裕一, 米田 操, 棚橋 伸行, 茶殻を利用した減塩干物の製造方法, 日本食品工学会誌, 25 (2), 37-43 (2024)

https://doi.org/10.11301/jsfe.23646

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