お魚たんぱく健康だより 魚にまつわる慣用句2
2026.09.01
魚(さかな)にまつわる慣用句は、私たちの日常生活に驚くほど溶け込んでいます。四方を海に囲まれ、古くから日常の糧として、また文化として魚と深く関わってきた日本だからこそ、その生態や調理法から生まれたユニークな表現がたくさんあります。
前回に引き続き、知っていると少し誇らしげに使える、魚にまつわる慣用句をいくつかのシチュエーションに分けてご紹介します。
人材や評価にまつわる言葉
腐っても鯛(たい)
意味: 価値あるものは状態が悪くなったり落ちぶれたりしても、本来の優れた本質や品格を失わないということ。
由来: 鯛(タイ)は古くから「魚の王様」とされ、最高級の魚として重宝されてきました。そのため、多少傷んだり鮮度が落ちたりした状態(腐った状態)であっても、並の魚にはない価値や存在感があると考えられたこと。また、 「タイ」という名前が「おめでたい」に通じる縁起の良い魚であるため、たとえ傷んでいてもその縁起の良さや価値は変わらない、という解釈も語源の一つとされています。
木に縁(よ)りて魚(うお)を求む
意味: 手段や方法が間違っているため、いくら努力しても目的を達成できないことのたとえ。
由来: 孟子が斉(せい)の宣王に対し、「武力(軍事力)を使って天下を統一しようとするのは、木に登って魚を求めるようなものです(縁木求魚)」と説いたことに由来します。木の上には魚はいないので、的外れな努力や不可能なことを表しています。
ビジネスや交渉の場で使える表現利益や成果にまつわる言葉
海老(えび)で鯛(たい)を釣る
意味: ほんのわずかな費用や労力で、莫大な利益や素晴らしい成果を手に入れること。
由来:安価なエビをエサにして、高級魚であるタイを釣り上げるという、最高にコスパの良い投資を表しています。略して「エビタイ」とも呼ばれます。
網(あみ)の目をくぐる
意味: 法や規則の不備・制限の隙間を巧みに見つけて、追求を逃れること。
由来: 網は糸と糸の間に小さな隙間(目)がいくつも空いており、その隙間よりも小さな魚が、網からすり抜けて逃げていく賢い(あるいはずる賢い)魚の動きからきています。
人の性格や行動を表す慣用句
魚心(うおごころ)あれば水心(みずごころ)
意味:手が好意や親愛の情を示してくれれば、こちらもそれに応じて好意や協力を返すという意味です。相手の出方次第でこちらの応じ方が決まることを表します。お互いの信頼関係やギブ・アンド・テイクの精神を表した言葉です。
由来:水中にいる魚に「水と親しもうとする心」があれば、水もまたそれに応えて「魚を包み込もうとする心がある」という、自然の理(水と魚の親密な関係)から生まれた言葉です。元々は「魚、心あれば、水、心あり」という長い言い回しでした。
鰯(いわし)の頭も信心から
意味: つまらないものでも、それを心から信じる人にとっては、ありがたいものに見えるということ(信仰の不思議さを皮肉る際にも使われます)。
由来: 節分の夜に、魔除けとして鰯の頭を柊(ひいらぎ)の枝に刺して門口に飾る習慣から、他人から見ればただの魚の生首でも、信じる人にとっては魔を払う力があるという様子から生まれた言葉です。
魚にまつわる慣用句の一部をご紹介させていただきました。このように「魚」に関係する表現が数多くあることに驚きますね。今も昔も魚と人間の関係が深いことがうかがえます。
普段何気なく使っている言葉も、その背景にある「魚の姿」を想像してみると、より味わい深く感じられませんか?また、機会がありましたらご紹介させていただきます。
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