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かまぼこの原材料であるすり身を作るのに向いている魚は何ですか?
一般的に、脂質が少ないことと弾力が出やすい魚であることがかまぼこの原料に適しているとされており、シログチやスケトウダラなどの白身魚が代表的なものです。また、価格が安いことも重視されます。そのまま食べても美味しい魚は市場価値があるため、コストをかけてすり身にしてかまぼこを作ってもなかなか太刀打ちできません。弾力に関しては、世界に30,000種以上も存在する魚のすべてが弾力を出せるわけではなく、それぞれの魚種で弾力の出やすい温度帯も異なるため、原料と真摯に向き合って特徴を見極めることが魚の命を生かすことのコツだと言えます。
赤身の魚でかまぼこを作ったらどうなりますか?
赤身魚は弾力が必要とされる板かまぼこの原料にはあまり向いていませんが、うま味が強く、風味も良いため、揚げかまぼこなどの原料に向いています。 かまぼこの弾力は筋肉タンパク質であるミオシンがトランスグルタミナーゼという酵素により重合し、網目構造が形成されることで生まれます。赤身魚にはこのトランスグルタミナーゼの働きを弱くするアンセリンやカルノシンといったいわゆるイミダゾールペプチドが豊富に含まれているため、うまく弾力を作り出すことが出来ないのです(参考資料1)。これらのジペプチドは渡り鳥や長距離遊泳する回遊魚などに多く含まれ、抗疲労効果を示す有用な物質で健康食品にもよく使われていますが、板かまぼこにとっては避けたいものです。マグロやカツオなどの回遊魚は泳ぎ続けるためのスタミナが必要であるため、酸素を蓄えるミオグロビンが多く魚肉が赤く見え、エネルギー源となるグリコーゲンも大量に含んでいます。このグリコーゲンが分解されると酸性物質が増えてpHが低下し、タンパク質が変性してしまうため、これも弾力が出にくい要因となります。新鮮な赤身魚を使ってpHをコントロールしながら作ればしっかりした弾力を出すこともできますが、コストや技術的に難しいところもあるため、赤身魚、白身魚のそれぞれの特徴を生かした使い分けが良いと考えられます。
〈参考資料〉 1)Wan J. et al. Inhibitory factors of transglutaminase in salted salmon meat paste. Fisheries science 61.6 (1995): 968-972.
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