お魚たんぱく健康だより ブルーホワイティング魚肉由来ペプチドの肥満防止効果
2026.05.26
今回はブルーホワイティングの魚肉加水分解物の肥満防止効果1)について紹介する。
背景および目的
現在、世界中で19億人以上(成人人口の約39%)が過体重または肥満であり、その数は劇的に増加しており、社会課題化している。肥満は摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが崩れることで起こる。肥満対策には様々な考え方、アプローチの仕方があるが、健康的に痩せるためは自然に食欲を抑えて摂取エネルギーを減らす戦略が注目されている。いわゆる「痩せホルモン」と呼ばれるコレシストキニン(CCK)やグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は脳に満腹信号を送り、食欲を制御しているため、これらのホルモン分泌を促す物質は減量のための理想的なターゲットとして研究が進められている。本研究では、先行研究においてCCKやGLP-1の分泌を促進することが示唆されていたブルーホワイティング(学名:Micromesistius poutassou、和名:プタスダラ)の魚肉由来ペプチドの抗肥満効果を明らかにすることを目的として、90日間の摂取試験を行った。
方法
●ランダム化二重盲検プラセボ対照試験
●摂取サンプル:ブルーホワイティング筋肉を加水分解して調製したペプチド含む乾燥粉末
プラセボはホエイプロテイン粉末
●摂取量 ・1.4 g摂取群:魚肉由来ペプチド1.4 gを含む粉末25 gを200 mLの水に溶かして昼食または夕食前に摂取
・2.8 g摂取群:魚肉由来ペプチド2.8 gを含む粉末50 gを200 mLの水に溶かして昼食および夕食前に摂取
●摂取期間: 90日間
●対象者: 120名の「軽度肥満」(BMI:25〜30 kg/m²)の健康な成人男女(18〜55歳、男性25%、女性75%)
●カロリー制限:1日マイナス300 kcalの緩やかな食事制限
●測定項目:脂肪量、細胞外水分、ウエスト、太もも、ヒップ、空腹時血漿中のCCKおよびGLP-1
結果
●体重と肥満指数の変化
・90日間の摂取後、体重はペプチド1.4 g摂取群で3.5 kg、2.8 g摂取群で3.3 kg減少し、プラセボ摂取群(2.0 kg減少)と比較して有意な減少が認められた
・BMIは体重減少に伴い、いずれのペプチド摂取群でプラセボ摂取群より有意に低下した
・90日後の脂肪減少量はペプチド1.4 摂取群2.9 kg、2.8 g摂取群で2.7 kgに達し、プラセボ摂取群(1.6 kg)より大きく減少した
・細胞外水分はペプチド摂取群とプラセボ摂取群の間で有意差は認められなかった
→これらの結果から体重減少の要因は「水抜き」ではなく、純粋な脂肪燃焼によることが示唆された
●身体組成と各部位のサイズ変化
・ウエストはペプチド1.4 g摂取群で4.0 cm、2.8 g摂取群で3.9 cm減少し、プラセボ摂取群(2.4 cm減少)と比較して有意な減少が認められた
・ヒップはペプチド1.4 g摂取群で3.5 cm、2.8 g摂取群で3.1 cm減少し、プラセボ摂取群(1.7 cm減少)と比較して有意な減少が認められた
・太ももはペプチド1.4 g摂取群で2.9 cm、2.8 g摂取群で2.7 cm減少し、プラセボ摂取群(1.5 cm減少)と比較して有意な減少が認められた

●食欲抑制ホルモン(痩せホルモン)の変化
・血中のCCK濃度はペプチド1.4 g摂取群、2.8 g摂取群ともに、プラセボ群と比較して有意に上昇した
・GLP-1濃度もいずれのペプチド摂取群でもプラセボ摂取群よりも非常に有意に上昇した
●摂取量と安全性
・すべての測定項目でペプチド1.4 g摂取群と2.8 g摂取間に有意な差は認められなかった
→摂取量は一日1.4 gで十分なことが示唆された
・90日間の試験期間中、副作用や有害事象は報告されず、安全性が高いことも確認された
本研究の結果は、魚肉由来ペプチドが、ホルモン分泌を通じて人間の体重管理に有効な栄養戦略になり得ることを示している。
<参考文献>
1) Nobile, V., Duclos, E., Michelotti, A., Bizzaro, G., Negro, M., & Soisson, F. (2016). Supplementation with a fish protein hydrolysate (Micromesistius poutassou): effects on body weight, body composition, and CCK/GLP-1 secretion. Food & nutrition research, 60(1), 29857.
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