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お魚たんぱく健康だより カツオ血合肉由来加水分解物の抗高血圧作用

2026.04.14

今回はカツオの加工副産物である血合肉から調製したペプチドの抗高血圧作用1)について紹介します。

背景および目的

・世界の死亡原因の12.8%が高血圧関連

・既存の合成ACE(アンジオテンシン-I変換酵素)阻害薬(カプトプリルなど)は効果的だが、副作用の危険性がある

・カツオの血合肉は代表的な加工副産物であり主に廃棄されている

サーキュラーエコノミーの観点からも廃棄コスト削減および高付加価値な機能性素材の開発が求められている

カツオ血合肉からペプチドを調製し、副作用の危険性の少ない抗高血圧作用のある素材の開発を目的とした

方法

●ペプチドの調製および同定

脱脂したカツオ血合肉を粉末状にし、5種類のプロテアーゼ(パパイン、ペプシン、アルカラーゼ、ニュートラーゼ、トリプシン)を用いて加水分解

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ニュートラーゼ加水分解物が最もACE阻害活性が高かった

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分解条件を最適化

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得られた加水分解物を限外ろ過、ゲルろ過、逆相HPLCで分画し、14種のペプチドを同定

●細胞毒性評価

 HUVECs(human umbilical vein endothelial cells:ヒト臍帯静脈内皮細胞)に様々な濃度でペプチドを作用させ、生残率や増殖への影響を確認

●抗高血圧作用メカニズム解明

 血管拡張作用のある一酸化窒素(NO)および血管収縮作用のあるエンドセリン-1(ET-1)の産生量を測定

結果

・3-4残基からなるACE阻害活性の高い(IC50, 1.0mg/ml以下)ペプチドが同定された

・増殖抑制などの細胞に対する有意な毒性は認められなかった

・血管拡張作用のあるNO産生量を有意に増加させた(図1)

・ノルエピネフリン(NE)によるNO抑制作用も低減

・血管収縮作用のあるET-1の産生量を有意に低下させた

・NEによるET-1分泌促進作用も低減

図1.血圧低下メカニズムの模式図.

水産加工の過程で廃棄されがちなカツオの血合肉は、高血圧や心血管疾患に対する機能性食品成分(ACE阻害ペプチド)の有望な供給源であることが実証された。

<参考文献>

1) Qiao, Q. Q., Luo, Q. B., Suo, S. K., Zhao, Y. Q., Chi, C. F., & Wang, B. Preparation, characterization, and cytoprotective effects on HUVECs of fourteen novel angiotensin-I-converting enzyme inhibitory peptides from protein hydrolysate of tuna processing by-products. Frontiers in nutrition, 9, 868681 (2022).

https://doi.org/10.3389/fnut.2022.868681

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