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お魚たんぱく健康だより 戻り鰹は脂質が豊富

2025.10.02

今回はカツオの脂質含量の変化について紹介します。

上りカツオと下りカツオ

先日、戻り鰹が美味しい季節になってきたとの記事を見かけました。脂がのって美味しいと言われる戻り鰹、改めて脂質含量について調べてみました。カツオは季節によって体組成が大きく変わり、春から初夏にかけて黒潮に乗って日本近海を北上していく上りカツオは初鰹とも呼ばれ、赤身を中心としたあっさりとした味わいが特徴です。北上したカツオが豊富な餌を食べた後、秋に南下してくるものが下りカツオで、戻り鰹とも呼ばれています。上りカツオよりも脂がたっぷりのっており、濃厚なうまみとしっかりした味わいが特徴です。

脂質含量の変化

それぞれのカツオの脂質含量を日本食品標準成分表(八訂)で調べてみると、上りカツオ(春獲り)は0.5 g/100 g、下りカツオ(秋獲り)は6.2 g/100 gとやはり大きな差がありました。部位ごとに詳しく調べた文献では、腹肉、背側肉、血合肉、幽門垂および心臓部において、上りカツオよりも下りカツオの脂質含量の方が著しく高いことが明らかにされています1)。また、下りカツオの腹肉、背側肉、血合肉、幽門垂においては脂質中のトリグリセリド(TG)の占める割合が95%以上と高く、上りカツオのほとんどの部位でTG含有率が40%以下であることと対照的でした。これは、下りカツオが南下回遊に備えてTGをエネルギー源として蓄積しているためと考えられます。

図1.上りカツオと下りカツオ.

上りカツオ(初鰹)と下りカツオ(戻り鰹)、それぞれの体組成の違いを意識しながら食べてみるのも面白いかもしれませんね。

<参考文献>

1) 守田麻由子ら. 日本太平洋岸の上りカツオおよび下りカツオの各部位における脂質変化. 日本水産学会誌 69.6 (2003): 960-967.

https://doi.org/10.2331/suisan.69.960

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