返信先: かまぼこの消化スピードとまんぷく感の関係

#1853
fishpro
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 確かにかまぼこなどの練り製品は肉類など他の食品よりもタンパク質の消化スピードが速く、脂質含有量も少ないため、腹持ちが悪くなる印象を受ける人もいると思います。一般的に消化のスピードは糖、タンパク質、脂質の順で速いとされており、脂質が多い畜肉よりは魚肉タンパク質が主体の食品の方が素早く栄養成分が分解され、胃や腸などの消化器官に残存しなくなると考えられます。そういう物質的な意味では、かまぼこの「腹持ち」は悪いと考えられます。練り製品の中でも揚げや蒸し、ゆでなどの加熱方法の違いや、調味料の違い、弾力の強さの違いでも消化されやすさは変わります。「腹持ち」が悪いイコール消化器官への負担が少なく、効率的に栄養が使われる、とポジティブにとらえて、他の「腹持ち」の良い食品とうまく組み合わせて食事を楽しむことが一つの考え方だと思います。

 しかし、実際に人間が感じる「満腹感」や食欲は中枢神経への刺激により複雑にコントロールされていますので少し解説します。よく知られているのが食欲刺激ホルモンと言われるグレリンや、満腹刺激ホルモンと言われるレプチンやペプチドYY(PYY)という物質で、体内でのグレリンの分泌量が多いほど空腹と感じ、逆にレプチンなどの分泌量が多いほど満腹と感じるため、これらホルモンのバランスによって「満腹感」が左右されます(参考資料1)。これらのホルモン分泌は食事中の栄養成分との関わりも深く、例えば、朝食を高タンパク質食にすると食欲刺激ホルモンの分泌が減り、満腹刺激ホルモンの分泌が増えて「満腹感」が継続しやすく、間食が減るという研究結果があります(参考資料2,3)。タンパク質の摂取が食欲を抑える、というエビデンスも増えてきており(参考資料4,5)、まだ魚肉タンパク質に関する研究は少ないですが、ダイエットの観点から考えてみることも面白いのではないでしょうか。ちなみに、睡眠不足が続くとグレリンの分泌が増え、レプチンの分泌が減り、体重増加につながることも分かっています(参考資料6)。しっかりとタンパク質を摂取して、規則正しい生活をおくることが健康維持には大切だと言えるのではないでしょうか。

 〈参考資料〉
 1)高橋医院HP.食事と健康
   
 2) タンパク質を多く含む(1日35グラム)朝食を食べることで一日を通して食欲を抑え間食を減らすことが出来る.
  
 3) Heather L. et al. Beneficial effects of a higher-protein breakfast on the appetitive, hormonal, and neural signals controlling energy intake regulation in overweight/obese, “breakfast-skipping,” late-adolescent girls. The American Journal of Clinical Nutrition, 97. 4 (2013): 677–688.
 
 4)リハビリmemo.ダイエットで食欲を抑えたいならタンパク質を摂取しよう!.
   
 5)Kohanmoo, A. et al. Effect of short- and long-term protein consumption on appetite and appetite-regulating gastrointestinal hormones, a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Physiology & Behavior, 226 (2020): 113123.

 6)re:sumica HP. 太りやすい人は要注意! 睡眠不足が食欲を刺激する.

   

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