2023年1月9日 1:33 PM
#1751
fishpro
モデレーター
美味しさの定義ごとに見るところが違うかもしれませんが、いくつか事例を紹介したいと思います。鮮度が良いものを良しとする場合には、外観の見極めが大切です。鮮度が落ちてくると目の色が濁ったり、血走ったりしますし、エラの色がくすんできます。肉質も柔らかくなってくるため、そうなっていない魚を選びましょう。
コリコリとした食感を重視する場合には漁獲直後の魚を入手することが大切です。漁獲直後の肉質は柔らかいですが、その後死後硬直によりコリコリとした食感が生まれます。
うま味重視の場合は二つの視点から。核酸系のうま味成分であるイノシン酸はエネルギー物質(ATP)の分解が進むほど増えてくるので一定期間の熟成が必要です。同じようにアミノ酸系のうま味成分であるグルタミン酸もタンパク質の分解で生じるため、漁獲直後よりも時間経過後の方が美味しさを強く感じます。ただし、「タラの沖汁」と言われるように船上ですぐに食べないとどんどん分解が進んでしまうような魚がいる一方で、「腐ってもタイ」と言われるように分解がなかなか進んでいかない魚もいるので、魚種ごとに適した見極めも大切です。もう一つのうま味成分は脂質ですが、これは季節や産卵の影響で変動します。餌が豊富な時期に脂質を蓄えたり、産卵期間近には大量のエネルギーが必要とされるため脂質が使われてほとんど残っていなかったりと様々です。こちらも魚種ごとの旬を知ることが美味しい魚を食べるための秘訣とも言えます。
- この返信は1年、 9ヶ月前にosakanaが編集しました。